2017年11月26日日曜日

バルト三国(その1) リトアニア カウナス前編

朝早くにオスロから飛び立ち、2時間程度でリトアニアのカウナスに到着しました。

リトアニアは、今回訪れた7ヶ国の中で特に良かっただけではなく、
今まで訪れてきた国々を振り返ってみても五指に入るほど気に入りました。

良いところを列挙すると、概ね下記のとおりです。
今回からは、そんな素敵な国を堪能した時のことについて書いていきます。
 ・見どころが多い
 ・食べ物が美味しい
 ・物価が比較的安い
 ・治安が良い(※殺人事件発生率はEUの中では高いが、普通に観光する分には無問題)
 ・人が親切

カウナス国際空港で市内へ向かうバスを見つけて、まずはカウナス駅へ向かいました。
運賃は0.8ユーロと相当安かったです。北欧なら確実に5ユーロは取られるところですね笑
あとは支払いが現金のみだったこともあって、北欧との違いが一層際立ちました。

ちなみにリトアニアを含むバルト三国は、2011~15年にかけてユーロを導入しており、
どこの国でもユーロを使うことができます。両替の手間が掛からないのでとても楽です。

さて、途中で多くの停留所に停まったために時間は掛かったものの、
大体40分くらいでカウナス駅に着きました。駅舎はなかなか立派です。

そして、駅舎近くの道の舗装が剝がれていたことがとても印象に残りました。
これもまた、数時間前まで街並みが整然としている北欧にいたせいですね。
どうも駅は中心部からは少し離れているようで、道の整備真っ最中という状況でした。


















まずは駅のロッカーに荷物を預け、街歩きへ。

駅から中心部へ向かう通りを眺め、バスターミナルを横目に眺めつつ歩きました。
2枚目の写真中央の少し個性的な建物がバスターミナルで、非常に新しく綺麗でした。
バルト三国はバス網が発達しているようで、便の数もとても多いです。

その一方で、鉄道網は全体的にあまり発達していませんでした。
カウナスを例に挙げると、首都ヴィリニュスまでのバスは1時間に10本以上あるのに対し、
鉄道は1時間に1~2本と大きな差がありましたね。あと駅にいる人の数も全く違いました。
もっとも、私はいつも通り鉄道に乗ったのですけど。


















バスターミナルを通り過ぎた後は更に中心部へ向かい、
そこそこ規模の大きい公園が見えた辺りで脇道に入りました。
この先には杉原記念館という建物があります。


















杉原記念館は、外交官としてカウナスに赴任していた1940年に、
主にユダヤ系の避難民に対して通過ビザを発給した杉原千畝氏に関連する建物です。
書籍を読んで氏に興味を持ったので、今回記念館へ立ち寄ってみました。

もっと閑散としているかと思ったのですが、想像よりも人が多くて驚きました。
メッセージを残すためのノートを見ると、1日に1人以上のペースで日本人が訪れており、
リトアニアに行く人や、杉原千畝氏に興味を持つ人は結構いるのだなと思いましたね。


















書籍で知った内容以上の展示はありませんでしたが、
遠い異国にある記念館を訪れることができただけでも満足でした。

ちなみに私が杉原千畝氏関連の書籍で一番好きなのは下記の本です。
著者は「杉原千畝」をテーマにしている研究者であり、
主観よりも文献等を基にして書かれているのが自分の好みに合いました。


杉原千畝: 情報に賭けた外交官 (新潮文庫)
白石 仁章
新潮社 (2015-09-27)
売り上げランキング: 150,888


他には杉原千畝氏の奥様が書かれた『六千人の命のビザ』等の書籍もあり、
こちらは伴侶視点から主観が強めに書かれている印象を受けました。

こういう本は面白いかつまらないかで大きく分かれることが多い気がしますが、
私の感想は前者でした。先述の本と併せて一読しておいて損はないかと思います。
あとは外務省のHP等、探すと色々な情報や主張が出てきて結構面白いですね。

話は少し逸れますが、杉原千畝氏以外にも同様のことをした先人はいるので、
そちらにも注目がもっと集まると良いなとも思います。
杉原氏の件は「話が分かりやすい」ためにウケが良く、
有名になったという面もあるでしょうし。ストーリーは大事だなと思う今日この頃です。

さてノートに記述を残し、杉原記念館を後にしました。


















カウナスの中心部に至るまでの街並みは全体的に色彩が淡く、
ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエヴォへ行った時のことを思い出しました。
旧共産圏の国には、このような場所が多い印象を受けます。

ソ連から独立してまだ25年程度しか経っていないので、
数十年後はまた様子が変わっているのでしょうか。
それだけ経てば、旧共産圏や独立云々は関係なく変わるでしょうけど…笑


















ややあって新市街の入口に着きました。
鉄道駅からは徒歩15分ほどの距離だったと思います。

入口のすぐ近くには聖ミカエル教会があり、非常に荘厳な佇まいでした。
この写真は今回の旅におけるベストショットの1枚です。


















教会の中はちらりとしか覗き見ることができなかったのですが、
祭壇や絵画等のシンボル的物品が沢山あって煌びやかでした。

調べてみると、元々は正教会の教会として建造され、
独立後はカトリックの教会となっているようなので、煌びやかなのも頷けます。

例外は沢山ありますが、基本的にプロテスタントの教会が質素なのに対して、
カトリックや正教会の教会は装飾が多めな場合がよくあるんですよね。
ちなみにリトアニアはカトリックの信者が殆どなため、教会は豪華なところが多いです。
その様子は首都ヴィリニュスで大いに味わいましたので、後日の記事をお待ち下さい。

教会全体の雰囲気や、十字架の違い(キリストが架けられているか否か)等を見ると、
宗派の違いやその背景にある歴史が表れていて面白いですね。
私は特定の宗教は信仰していませんが、こういう違いを見るのは好きです。

今回は話が逸れまくりました…。
続きはカウナス後編へ。


【旅先の詳細情報】
時期:2017年7月
場所:カウナス(リトアニア)

2017年11月22日水曜日

北欧(その8) ノルウェー オスロ後編

港を歩きながら、まずはノーベル平和センターへ。
ノルウェーはノーベル平和賞の受賞者選定を行っているため、
オスロにはその関連施設が沢山あります。

私はノーベル平和賞自体はあまり好きではないのですが、
あまり知らない受賞者も多いなと思ったため、この機会に展示を見ることにしました。

内部は平和賞についての説明と、受賞者/団体一覧の展示が中心でした。
上記のとおり平和賞が好きではないので、あまり心惹かれるものはありませんでしたね。
想像以上に知らない受賞者が多く、それらを知ることができたのは収穫でしたけど。


















その次は、平和賞の受賞会場でもあるオスロ市庁舎を訪れました。
戦前からありそうな建物に見えていたのですが、実際は1950年に落成したのだそうです。


















授賞式が執り行われる市庁舎ホールに入ると、スケールの大きな壁画に迎えられました。

写真の出来が良くないせいで、いまひとつ壮大さをお伝えできていない気がしますが、
本当に圧倒的でしたね。興味がお有りの方は画像検索をされることをおすすめします。
絵画が自身に迫ってくるかのようで、なかなか味わえない迫力を感じました。


















ホール以外の場所でも絵画が展示されており、まるで美術館のようでした。
写真は撮っていませんが、「ムンクの間」という部屋もあり、
ノルウェーを代表する画家であるムンクの『人生』が展示されていました。

他の国の役所にも何ヶ所か行ったことがありますが、
オスロ市庁舎ほど強烈なインパクトを与えられた場所はありませんでしたね。
今回のオスロ散策で見たものの中でも、一番面白かったです。

最後に市議会を見て、市庁舎から退出しました。


















この時点で大体18時半頃でしたので、最後に高台の上にあるアーケシュフース城へ。

どこかの記事で、旅先では高台に登るのが好きだというお話を書いた記憶があります。
それは街全体を鳥瞰できるのが良いからなんですよね。
一度上から眺めることで街の特色がある程度掴めることも多く、楽しいです。

今回は一方向しか見られなかったため、上述のような趣はそこまでありませんでしたが、
景色として純粋に綺麗だったので大満足でした。


















大海原の壮大さで締めくくり、宿へ向かうために中央駅に戻ることにしました。
素敵なカフェが多くて心が温まります。


















中央駅からノルウェー国鉄の普通列車に乗り、オスロの街に別れを告げました。

flytogetという空港特急もあるのですが、普通列車でも時間はあまり変わらないそうで、
それならチケットが安い方を選びたくなるのが人情というものです笑
大体25分くらいで空港に着いた記憶があります。(frytogetは所要約20分だそうです)

しかし3泊目になっても、この時期の北欧の昼の長さには驚かされます。
下記2枚の写真は宿の部屋から撮ったもので、上が23時頃、下が24時少し前です。



















オスロは派手なものはありませんでしたが、見どころが多くてとても素敵な街でした。
物価の高さ以外は……ね笑

そして次の日の早朝にリトアニアのカウナスへ飛び、旅の舞台をバルト三国に移しました。
続きはカウナス前編へ。


【旅先の詳細情報】
時期:2017年7月
場所:オスロ(ノルウェー)

2017年11月20日月曜日

北欧(その7) ノルウェー オスロ中編

あちこち寄り道をしつつ、ようやく王宮に着きました。

ここまで見てきた北欧の国々もそうでしたが、
王族の住処に柵や濠の類が全くないことが印象に残りました。衛兵はいましたけどね。
治安の良さや、国民との距離の近さが背景にあるのかもしれません。

なお『地球の歩き方』の受け売りになりますが、
写真中央の銅像は、王宮の建立を命じたスウェーデン王のカール・ヨハンのものです。
ノルウェーは、1814~1905年の間はスウェーデンの支配下にあったため、
当時のスウェーデン王の銅像がこのオスロの地にあるのだそうです。


















また話が横道に逸れますが、私にとっては『地球の歩き方』は旅行の際の必携品です。
実際の旅の中では、この本に載っていない場所にも沢山行くことになるのですが、
それでも基本的な事項をざっくりと押さえることができるのはとても便利です。

サラエヴォのGallery 11/07/95など、私見では「載せておくべきでは…?」と思う場所が
たまに載っていなかったりもしますが、そこは個人調査でカバーできますしね。
旅の心強いお供です。

さて王宮に至るまでの道は傾斜が緩やかなので、歩いている時はあまり意識しませんでしたが、
王宮に着いてから振り返ってみると始点とは思いのほか高低差があって驚きました。
そして日常の何気ない一風景ではあるものの、
青空と白い雲、緑色の森、灰色の道路のコントラストが綺麗で、少々見惚れてしまいました。

現国王がいる王宮の内部には入れないのですが、王宮周辺の眺めだけでかなり満足でしたね。


















ここまでで中央駅から王宮まで一通り歩きましたので、
例によって気ままに街中を歩きつつ、港の方へ向かうことにしました。

以前にもどこかの日記で似たことを書いた記憶がありますが、
郊外を適当に歩くと地元の人の日常が垣間見えたりして面白いです。

勿論、ある国やそこに住んでいる人のことを更に深掘りして知ろうとするならば、
観光では到底足りず、最低1年間はその地に住まないと難しいとは思います。
そんな機会も作りたいと思いつつ、実現するとしても少し先になりそうな今日この頃です。

オスロの街は整然としていましたが、思ったよりも建物の密度が高かったですね。
国全体の人口密度が20人/km^2程度なのに対し、オスロは1,400人/km^2ほどらしいので、
前者のイメージが強かった私がそう感じるのは当然といえば当然なのですけど。


















そしてカラフルな建物も多く、コペンハーゲンのニューハウンや
ストックホルムのガムラスタンを思い出しながら散策していました。

とはいえ中心部の少し外れを歩いたに過ぎないので、
もしかしたら市の郊外はもっと違った景色が広がっているのかもしれません。
そのようなところも見たいのですが、たかが数日間の観光ではそれは難しいわけで、
先ほどの「深掘りして知るなら最低1年間は住みたい」というお話にも繋がります。


















それにしても気候が快適でした。気温は大体13~15℃くらいで安定しており、
半袖1枚又は半袖+長袖各1枚で気持ち良く過ごせる気温で、かつ湿度も低かったです。

コペンハーゲン・ストックホルム・ヘルシンキ・オスロで比べると、
オスロが一番気温が低く感じたのですが、それでも緯度の割には温暖な気がしました。
暖流であるメキシコ海流が近くを流れているのも関係しているのかもしれません。


















ここまでフラフラと歩いてきましたが、この日はオスロ空港直近のホテルを取っていたので、
暗くなる前にはオスロ中央駅に戻れるように、海へ向かって歩き始めました。
もっとも22時になっても明るい環境なので、よほど道草を食わなければ問題ないのですけど笑

そしてコペンハーゲン・ストックホルムと同様に、自転車専用通路があるのは素敵です。
そういえば写真は撮っていませんが、レンタサイクルも街のあちこちで見掛けました。


















ほどなくして水辺に到着しました。
潮の香りが漂ってきて、港についたということを実感しましたね。


















続きはオスロ後編へ。


【旅先の詳細情報】
時期:2017年7月
場所:オスロ(ノルウェー)

2017年11月16日木曜日

北欧(その6) ノルウェー オスロ前編

ストックホルム中央駅からスウェーデン国鉄の高速鉄道に乗り、オスロへ向かいました。
片道5時間掛かるので、なかなかのんびりとした旅になります。
















朝8時頃に発車した後は、外の景色を眺めながら読書をするという至福の時間を過ごせました。
Wi-Fiと無料コンセントも完備されているので、実に快適です。

車窓を通り過ぎていく景色はどれも見ごたえのあるものばかりで、
その中でもスウェーデンの湖は美しかったですね。森と湖の国と言われるだけのことはあります。
















長い旅を終えて、13時過ぎにオスロ中央駅へ。
想像していたよりも規模が大きく、飲食店や服飾店等が沢山ありました。


















まずは昼御飯をいただこうということで、市内に繰り出すことにしました。
中央駅からは直線の道が2kmほど続いており、最終的には王宮に達します。

最近この道に障害物が置かれたというニュースを小耳に挟んだのが記憶に新しいですね。
たまに脇道に入りつつ、王宮へ向かって歩いていきました。


















今回、実際に来てみるまではノルウェーに関する知識があまりありませんでした。
サーモン養殖の運営の賢さとフィヨルドのイメージばかりが強かったのですが、
こうして街を歩いてみて、オスロは素敵な場所だなと感じました。
やはり実際にその場へ行ってみないと分からないことは沢山ありますね。

街並みが全体的に綺麗ですし、書店や落ち着いた雰囲気のカフェが多いのも良いです。
そして今回のシリーズ恒例の「物価が高い」攻撃はここオスロでもやってきました。
オスロの物価は、コペンハーゲンやストックホルムよりも高い気がしましたね。

ノーベル賞受賞者も多く輩出しているオスロ大学(下の3枚目の写真)の前を通ったあたりで、
王宮が近付いてきたので昼御飯をいただくことにしました。


















ノルウェー料理の第一印象がサーモンということで、今回はサーモン料理を選びました。

ちなみにこのプレート1枚で約2,300円だったのですが、
特に高いとは思いませんでしたので、完全に北欧の物価に順応してしまいました笑
この直後に東南アジアあたりへ行ったら、感覚を破壊されたのではないでしょうか。

サーモンはなかなか美味しかったです。
















満腹になって王宮へ向かう途中でパーキングメーターらしきものを見掛けたのですが、
現金も使えるようになっていて、少し驚いたことを覚えています。

デンマークやスウェーデンでは、大きな駅にある一部の券売機くらいでしか
現金決済ができる機械を見掛けなかったので、新鮮に映りました。

北欧の中では、ノルウェーは少しだけ現金決済比率が高いのだろうか等とも思いましたが、
もしそうであったとしても誤差の範囲内なのでしょうね。ほんの一部しか見ていませんし。
ちなみに公式ソースは探していませんが、北欧諸国は現金決済比率が一桁%だそうです。

























王宮その他へ行った話を書くつもりが脱線しましたので、次回に回します笑

続きはオスロ中編へ。


【旅先の詳細情報】
時期:2017年7月
場所:オスロ(ノルウェー)